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2013年7月 6日 土曜日

土地の貸付けが事業として行われているかどうかの判定

 個人の不動産所得の申告において、土地の貸付けが事業として行われているかどうかの判定については、建物の貸付けのように通達で形式基準が公表されておらず、実務上悩ましいところです。

 私が知っている限りでは唯一、市販されている「図解所得税」(大蔵財務協会 平成23年度版)に次の記載があり、一応の目安としているところです。

 「土地の貸付けが事業として行われているかどうかの判定」
 

土地の貸付けが不動産所得を生ずべき事業として行われているかどうかの判定は、次のように取り扱われます。

1 土地の貸付けが不動産所得を生ずべき事業として行われているかどうかは、あくまでも社会通念上事業と称するに至る程度の規模で土地のの貸付けが行われているかどうかにより判定する。

2 その判定が困難な場合は、所得税基本通達26-9に掲げる建物の貸付けの場合の形式基準(これに準ずる事情があると認められる場合を含む。)を参考として判定する。
 この場合、①貸室1室及び貸地1件当たりのそれぞれの平均的賃貸料の比、②貸室1室及び貸地1件当たりの維持・管理及び債権管理に要する役務提供の程度等を考慮し、地域の実情及び個々の実態等に応じ、
1室の貸付けに相当する土地の貸付件数を、「おおむね5」として判定する。
(注)例えば、貸室8室と貸地10件を有する場合にも事業として行われているものとして判定する。



 この記述から行けば「アパート8室」と「駐車場10台」を貸している場合は事業として行われていると判定できそうですが、これはあくまでも市販の図書の記述であり絶対にOKとは言えません。
 一方、この出版社は税務の図書については大手であり信頼できます。おそらく国税不服審判所の裁決事例か何かを引用していると思われますが、残念ながら引用元の記載がありません。

 以上から、土地の貸付けの場合は、あくまでも個別判断になると思われますので、慎重な判断が必要だと思われます。


投稿者 光本会計事務所 | 記事URL

2013年7月 6日 土曜日

建物の貸付けが事業として行われているかどうかの判定

 所得税法等では、個人が不動産所得を生ずべき業務が事業として行われているか否かによって、次のような取扱いの差異を設けています。

1 資産損失の必要経費算入(所法51①④、72①)
2 貸倒損失(所法51②、64①)
3 貸倒引当金(所法52①②)
4 事業専従者給与等(所法57①③)
 事業の場合には、青色申告の事業専従者給与額や白色申告の事業専従者控除額が必要経費に算入される。
5 青色申告特別控除(措置法25の2③)
 青色申告特別控除のうち、65万円の特別控除は、不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を営む場合に適用することとされている。
6 確定申告における延納に係る利子(所法45①二、所令97①一)

 以上より、個人で建物の不動産貸付を行っていて、青色専従者給与の支払いや青色申告特別控除65万円の適用を受けるには、建物の貸付けが事業として行われている必要があります。つまり、貸付の規模が問題となります。

 建物の貸付が事業として行われているかどうかの判定は、所得税法基本通達26-9で次のようになっています。

 建物の貸付けが不動産所得を生ずべき事業として行われているかどうかは、社会通念上事業と称するに至る程度の規模で建物の貸付けを行っているかどうかにより判定することになりますが、次に掲げる事実のいずれか一に該当する場合又は賃貸料 の収入の状況、貸付資産の管理の状況等からみて、これらの場合に準ずる事情があると認められる場合には、特に反証がな い限り、事業として行われているものと取り扱われています。
(1)貸間、アパート等については、貸与することができる独立した室数がおおむね10以上であること
(2)独立家屋の貸付については、おおむね5棟以上であること   

 以上より、ざくっとしたところで、貸付規模が「5棟または10室以上」であれば、貸付が事業として行われていると判定され、事業専従者給与の支払いや青色申告特別控除65万円の適用があるということになります。
 

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